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2023/01/27  インドネシア ~ 南シナ海開発・地熱開発の活発化~

 インドネシアは、世界の液化天然ガスの主要な生産国の1つです。 国境内には67.5兆立方フィートの天然ガス埋蔵量があり、推定埋蔵量は約12兆立方フィートと推定されています。
新興国であるインドネシアが南シナ海の南部で、権益確保の動きを強めています。自国領・ナトゥナ諸島周辺の排他的経済水域(EEZ)で石油と天然ガスの採掘を近く始める方針です。

 インドネシア政府は、ナトゥナ諸島の周辺のEEZにある「トュナ・ブロック」と呼ばれる海域(インドネシアとベトナムの間の海域)で、石油・天然ガスの開発計画を容認し、総投資額は約30億ドル(約3900億円)を見込み、2026年にベトナムにも輸出する計画もあります。インドネシアのジョコ大統領は12月にベトナムのグエン・スアン・フック国家主席(当時)と会談をし、両国で12年間、調整が続いていた南シナ海でEEZを画定させる交渉が終了しました。
 ベトナムとEEZの画定は、政治的な意味があるもので、インドネシア政府は、ナトゥナ諸島のEEZで中国やベトナムの漁船が出没することに用心していましたが、ベトナムとEEZを画定させれば、対応にあたる人的資源を対中国に集中することができます。

 インドネシアは、自国の権益を確保するために、ベトナムやフィリピン等の国と連携を強め、ロシアによるウクライナへの侵攻を教訓に、南シナ海での不測の事態を警戒し、備えています。
アンディカ国軍司令官(当時)は、2023年前半にもナトゥナ諸島周辺で、マレーシアとブルネイと合同軍事演習を実施すると伝えています。アンディカ氏の後を継いだユド国軍司令官も同諸島の防衛に向けた「特別演習」を計画しているそうです。
ジェコ大統領は、9月にフィリピンのマルコス大統領との会談でも、海洋安全保障の強化に向け、防衛分野での協力に関する協定に署名しました。
 中国は、インドネシアの動きに目を光らせて、インドネシア側にトュナ・ブロックでの資源開発に向けた調査活動を中止するように求めていますが、インドネシア側は、中国が主張する九段線を認めないし、要求をのまずにいます。トュナ・ブロックでの資源開発が実際に始まれば、緊張がさらに高まることでしょう。

 そして、インドネシアでは、地熱発電を巡る動きも活発になっています。インドネシア最大手の国営石油会社プルタミナは、能力増強を見据えて子会社の動きを精力的にさせています。
インドネシアは、世界2位の地熱資源量を誇り、政府は脱炭素化に向けて地熱拡大に期待を寄せています。
もっとも発電所を稼働するまでの道のりは険しく、思惑通りに伸ばせないリスクもあります。
INPEXが出資するムアララボ発電所は、最大出力8万5000キロワットで、年内に出力をほぼ倍増させる拡張工事を実地するそうです。出力総量は22年末時点で11万キロワットと、21年末比で約2割倍増しました。
倍設を考慮すると、首位はプルタミナの子会社、プルタミナ・ジオマーサル・エナジー(PGE)の約70万キロワット、次いでシンガポールのスター・エナジー、INPEXは全体で3位となる見込みです。
PGEは現状約70万キロワットの出力総量を27年にも約130万キロワット規模に拡大させる計画で、多額の設備投資が必要になることを受けて、23年にもIPOを実地する計画で、現地報道によると、日本円で数百億円を調達するとのことです。各社を引き付ける主因の一つが、豊富な地熱資源量で、インドネシアの地熱資源量は2779万キロワットと首位の米国に迫る世界2位です。

 一方で、資源量に対する開発率は米国より見劣りするとされていますが、潜在成長の大きさが魅力でもあります。
インドネシアの電源構成は石炭火力が約半分を占め、再生可能エネルギーは15%にとどまっています。(21年末時点、国家エネルギー委員会調べ。)再生可能エネルギーのうち過半数を水力発電が占め、次いで地熱の2割、バイオと続いています。60年までに温暖化ガス排出の実質ゼロを目指すなか、二酸化炭素(CO₂)を出さずに一日中発電できる地熱の重要性は高いです。

ですが、地熱投資はバラ色ではなく、リスクも横たわります。地熱発電に適した場所は山間部に多く、採掘に至るまで相応の初期費用がかかり、資源量は掘ってみないとわからないため、1本数億円とされる井戸を幾度なく掘る必要があります。調査開始から稼働するまでの期間は15年程度とされ、事業化には財務的な余力も求められています。地熱発電量を安定的に増やすためには、掘削技術や地下資源量を探査する知見に磨きをかけることが課題となっているそうです。
 
当社イーアクティブグループは、インドネシアのインフラ事業にも関わっている会社でもあります。インドネシアには定期的に視察に行き、経済成長が長期的に続くと見込まれているインドネシアの開発・躍動を肌で感じています。ASEAN諸国の経済を牽引する国として、インドネシアは世界から注目されています。当社イーアクティブグループは、その経済成長の根幹に携わる国の資源開発に今後も注目し、推進していきます。

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