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2023/12/13 インドネシアが成長を続ける理由 ~Vol.1~

 インドネシアは、世界で第4位約2.7億人の人口を有し、赤道にまたがる約1万4千の大小さまざまな島からできています。世界的に見ても2000年以降経済成長率がマイナスになっておらず、堅調な成長を維持し続けています。 2008年のリーマンショックで世界各国が大打撃を受ける中でも、インドネシア経済は、4%台の経済成長を保ち、1998年タイを中心に始まった「アジア通貨危機」を除けば、長期にわたり安定した経済成長を遂げてきた国になります。
2019年までの経済成長率を約5%保っており、特に2010年前後は6%台という成長を維持していました。その理由として、主要な産業である一次産物品の価格が高水準だったことが挙げられます。しかし、最近ではコモディティ価格も下落していて、経済成長率は鈍化しています。

 インドネシアが世界不況のなかでも高い成長率を維持できたのは、内需主導経済であることです。輸出依存度が低く、個人消費がけん引しています。

 インドネシアで消費市場が拡大した理由として、まず、製造業やサービス業の発展が挙げられ、それに伴い雇用の拡大がありました。また、インドネシアの対内直接投資受入額はこの10年間で急増しています。それが、自動車・日用品の内需投資拡大につながり、製造業が活況になったと言われています。
内需主導の成長が堅調で、政治的にも安定している有望な投資国として世界で注目を集めました。
 このように産業構造が変化すると、農村から都市とその近郊へと人口も移動していきます。インドネシアは列島国家ですが、その中で経済的な中心地とされているのがジャワ島西部のジャカルタ首都圏です。ジャカルタは、オランダ支配の時代から政治の中心地として機能してきました。

 ジャカルタの人口は約1,000万人、首都圏も含まれれば約3,400万人が暮らしています。しかし、ジャカルタは世界最悪と言われる交通渋滞が深刻化しています。交通渋滞による経済損失は百兆ルピア(約7775億円)、国家予算の5%にも及ぶと言われていました。

 道路自体が少ないことに加え、自動車やバイクの保有台数の増加や市内を移動ができる公共交通機関がなかったことが原因です。日本政府と日本企業が全面支援した大量高速鉄道(MRT)が2019年に開業しましたが、まだ一部の区間に限られているため、渋滞を緩和するまでには至っていない状態が続いている現状です。

 新型コロナウイルス流行前のインドネシアのGDP、その約6割を占めていたのは民間消費です。インドネシアをけん引きしてきた個人消費は安定した推移を見せていました。世界4位の人口を抱え、人口増加や最低賃金の上昇を追い風にして拡大を進めてきたのです。

 新型コロナウイルスの感染拡大により一時は二輪車販売なども落ち込みが見られましたが、2022年の二輪車販売台数は前年比3.2%増の約522万台、輸出台数は数年前から7.5%減の約74万台となっています。
 インドネシア二輪車製造業者協会では、半導体不足など部品の供給に心配は残るものの、このまま増加すると推測されています。通年では540万~560万の販売台数を見込んでおり、市民の必需品である二輪車市場は大きなマーケットになっています。また、国民の生活水準の向上とともに消費も多様化し、日用品や通信関連の消費が増加していることも個人消費拡大に寄与しています。

 所得水準の目安として2021年の1人あたりGDPを見ると、インドネシアは4,361USドルで、これは世界117位でした。しかし、今後中長期的に安定した成長を続けて1人あたりGDPが5,000ドル台、10,000ドル台まで上昇すればさらに耐久消費財の普及など個人消費も押し上げれらることになると言われています。それだけインドネシアは、成長が期待できる開拓余地が大きい市場であると言えます。
 インドネシアの2023年7~9月期実質GDP成長率は、前年同期比(原系列)4.94%増(前期:同5.17%増)と低下し、市場予想(同+5.03%)を下回る結果になりました。
7~9月期の実質GDPを需要項目別に見ると、輸出と政府消費の減少が成長率低下に繋がりました。民間消費は前年同期比5.06%増とし、費目別にみると、輸送・通信(同7.61%増)とホテル・レストラン(同6.52%増)が堅調に拡大しました。
 政府消費は前年同期比3.76%減となり、好調だった前期の同10.57%増から大きく低下しましたが、総固定資本形成は前年同期比5.77%増(前期:同4.63%増)と加速しました。
機械・設備投資(同1.01%減)が減少したものの、建設投資(同6.31%増)が加速しました。
供給項目別に見ると、第二次産業は前年同比5.82%増(前期:同4.94%増)と加速し、内訳見ると、全体の2割を占める製造業(同6.39%増)と鉱業(同6.95%増)が堅調に拡大するとともに、持ち直しの動きが続く建設業(同6.39%増)と電気・ガス・水供給業(同5.04%)が回復しました。

 インドネシア経済はコロナ渦からの経済活動の正常化により、2022年は成長率が前年比+5.31%と上昇したが、昨年10~12月以降は鈍化傾向にあります。
今年のGDP統計では、2023年7~9月期の実質GDP成長率が前年同期比+4.94%となり、過去2年間で最も低い水準です。
しかしながら、投資は機械・設備投資が減少したものの、建設投資の増加が上回り2四半期連続で加速しているうえ、新首都「ヌサンタラ」では民間企業の開発事業が相次いで着工しており、建設投資を押し上げたとみられます。
 先行きは、当面の世界貿易の低迷と一次産物価格の下落による輸出の縮小やインドネシア中銀の金融引き締めにより景気に下押し圧力がかかるだろうと言われてますが、インフレ鈍化による消費者の購買力の増加を受けて個人消費が堅調に推移することや新首都開発の建設投資の拡大などにより5%前後の成長軌道を保つと思われます。
 インドネシア経済のさらなる成長理由を当社イーアクティブグループでは、直接現地インドネシアからのマーケティング情報も得ることにより、時には深く、時には広く、新鮮な情報を独自の目線からも取り入れて、より一層皆様にお届けしたく思っております。
「シリーズ:インドネシアが経済成長を続ける理由」は、第二段のVol.2は近日掲載させていただきます。

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