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2020/2/12 新型コロナウィルス ~経済への影響~

 中国湖北省武漢市を発端とした新型コロナウィルスは、猛威を振るい続け、2月12日(水)0時30分現在での各国の感染者、死者数は以下のように報道されています。

【中国】
4万2600人(うち1016人死亡)
【アジア太平洋地域】
日本で検疫中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス(Diamond Princess)」:135人、香港:49人(うち1人死亡)、シンガポール:47人、タイ:32人、韓国:28人、日本:28人、台湾:18人、マレーシア:18人、オーストラリア:15人、ベトナム:14人、マカオ:10人、インド:3人、フィリピン:3人(うち1人死亡)、ネパール:1人、スリランカ:1人、カンボジア:1人
【北米】
米国:13人、カナダ:7人
【欧州】
ドイツ:14人、フランス:11人、英国:8人、イタリア:3人、ロシア:2人、スペイン:2人、フィンランド:1人、スウェーデン:1人、ベルギー:1人
【中東】
アラブ首長国連邦(UAE):8人

 2月11日(火)、世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、新型コロナウィルスによる肺炎を「COVID―19」と名付けたと発表しました。これは、「コロナウィルス病」の英語表記を略した「COVID(コビッド)」と、感染が報告された2019年を組み合わせて命名されました。未だ、終息の見込みが立たない状況の中で、世界的な大流行ではなく一定の地域のためエピデミックだと言われていますが、世界的大流行である、パンデミックの可能性も捨てきれていないのが実情です。

 世界経済への影響も懸念されています。発端となった中国では春節の連休中だけで16兆円を超える経済的な打撃を受けるという試算も出されています。SARSの時代の中国の実質 GDP は1.7兆ドル(2003年、約185.3兆円)、世界全体の実質GDPの4.4%しかありませんでしたが、世界第2位の経済大国になった現在、実質GDPは14.3兆ドル(2019年)、世界全体のシェアも16.3%(同)に成長しています。

 とりわけ、武漢市のある中国湖北省には、世界の自動車産業の多くが工場などの拠点を置いています。中国国有自動車メーカーの「東風汽車」をはじめとして、フランスの「PSAグループ」、アメリカの「ゼネラル・モーターズ(GM)」、日本の「ホンダ」などなど。自動車産業ではありませんが「ダイキン工業」なども武漢に工場を持っています。中国の世界全体で占める実施GDPの拡大により、世界経済に与える影響も多大なものになることが予想されます。

 東南アジア諸国でも、シンガポールやタイ、マレーシア、ベトナムなどで感染者数が増加し続け、各国とも中国との間の定期航空便の運航停止や中国人、中国を経由した外国人の入国制限などに乗り出しています。

 そうした中、2月12日現在も「感染者ゼロ」を続けている国がインドネシアです。そのインドネシアが感染防止のための新たな方針を示しました。中国との間の航空機運航の見合わせや中国人観光客の入国制限に加え、鮮魚や家畜類などの中国からの輸入制限に踏み切るというのです。こうした動きに対し、在インドネシアの中国大使は「過剰反応は両国の経済関係に悪影響を与える」などと強い反対を表明しましたが、ジョコ・ウィドド大統領は「自国民保護が最優先される」と反論、中国の注文を一蹴しました。

 世界的観光地であるバリ島には、4日の時点で中国との間の定期航空便が運航見合わせになった影響で、約5,000人の中国人観光客が足止めされています。このうち武漢からの観光客は200人といわれ、バリ保健当局は容体や経過観察を強めて感染への警戒を強めています。ASEANの周辺各国で新型肺炎の感染者数が拡大する中、依然として「ゼロ」を続けているインドネシアだけに、「可能なことはとにかくなんでも対応、対処して、最大限の感染防止を行いたい」とのジョコ政権の強い思いが、中国からの輸入制限にまで至ったと言えるでしょう。

 インドネシア経済に与える影響についてもインドネシア中央銀行の高官は4日、中国で発生した新型コロナウィルスの感染拡大は同国経済にほとんど影響を与えないとの見方を示しています。 中銀の経済・金融政策担当ディレクター、フィルマン・モクタル氏はジャカルタでのイベントで、中銀は、2020年の経済成長率見通しを5.1―5.5%に維持すると述べています。

 インドネシア政府の早期の段階での思い切った措置が、現在の新型コロナウィルス感染者がゼロという事態を齎したとするならば、称賛されるべき対応だと思います。ジョコ・ウィドド大統領は、インドネシア国民の信頼をさらに勝ち得ることになり、各国から、投資対象国として注目が集まるでしょう。

 現在、中国が各国の製造業の供給網(サプライチェーン)として組み込まれていますが、今回の新型コロナウィルの一件は、脱中国を加速する引き金となり得る問題だと思われます。その受け皿として、今後、益々、ASEAN諸国、とりわけインドネシアに注目が集まることは歴史の流れだと思います。

 当社イーアクティブグループは、設立当初より、内需拡大により発展していくインドネシアを中心としたASEAN諸国に着目し、コスメティックス事業、インバウンド事業、コンサルティング事業等で微力ながらASEAN諸国の発展に貢献し、日本との架け橋となる事業展開をしております。

 最後に、新型コロナウィルスの早期の終息を心から願い、亡くなられた方々へ謹んで哀悼の意を表します。

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