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2018/9/21 スポーツの祭典と国の反映 ~インドネシアの今後~

 2018年8月18日から9月2日に亘って開催されたアジア競技大会で目覚ましい活躍をした国は、開催国のインドネシアでした。今大会のインドネシアのメダル獲得数は、総数98個(金:31個 銀:24個 銅:43個)です。前回、韓国・仁川大会では、総数20個(金:4個 銀:5個 銅:11個)でしたので、総数では78個増、メダル獲得数ランキングも17位から、4位と大躍進しました。オリンピックなどの世界大会でのメダル獲得数は、国力の反映と言っても過言ではありません。

 とは言え、開催国の選手が活躍するのは、特に珍しいことではありません。ホームアドバンテージにより、普段から住み慣れた環境で競技を行うことになれば食事や水の心配もないですし、会場周辺の天候・気候にも対応できるからです。また、国や地元企業が融資してくれることで強化予算が増加し、地元開催だからと大会出場を目指す人が増える=競技人口の増加も開催国ならではの現象でしょう。他には大会の競技種目に自国の得意な種目を追加できるケースもあります。しかし、今大会でのインドネシア選手団の活躍は、著しく成長する国力を背景に、スポーツ大国として台頭してきていることをアジア各国に見せつける形となりました。

 今大会、インドネシア・ジャカルタで開催するにあたっての問題点も指摘されていました。それは、道路状況です。世界最悪ともいわれる首都ジャカルタの交通渋滞は、予想はされていたとはいえ選手たちの“足”を直撃しました。組織委は渋滞緩和のため、車両ナンバープレートの末尾が偶数か奇数かで道路に進入できる日を規制する「偶数奇数制度」を実施し、8月1日から違反者に最大50万ルピア(約3,800円)の罰金を科した結果、渋滞は約30%改善したとのことですが、十分な対策だったとは言えません。

 世界最悪の渋滞を解消すべく、インドネシア政府は、インフラ整備計画に道路の整備計画に組み込んでいます。道路インフラは国内経済の成長に欠かせないものであるため、2019年以降は、道路整備はインフラの中でも優先的に取り組まれる計画です。政府は道路インフラの整備として、新道路を3,650 km拡張、そして総計46,770 kmの道路の管理をする計画です。この道路インフラの整備には805兆ルピア(6兆500億円)が必要との試算をしており、115兆ルピア(8,600億円)をかけてバス専用道を34の都市で整備する予定です。高速道路を含む道路インフラの上記の整備には総距離1,000 kmも予定されています。

 インフラは、国や地方経済の成長の基盤であり、国民生活の質を高めるものでもあります。また、インフラの整備が不十分であることが、社会サービスへのアクセスを妨げ、地域格差を拡大し、社会の安定を阻害する要因となる場合もあります。インフラ整備の状況は、国内企業や外国企業の投資の決定要因ともなり、国が今後の成長率を高めていくために、重要な要素となります。

 現在のインドネシアは、日本の高度経済成長期と重なります。1964年開催の東京オリンピックに向けて東京を中心に大規模なインフラ整備が実施され、多くの良質なインフラストックをもたらしました。そのインフラ整備が、日本の経済成長を加速させたことは言うまでもありません。インフラ整備による経済成長は歴史が証明していることであり、インドネシアも今回のアジア大会が契機となり、益々国の成長に繋がっていくことは明白なことです。

 人口2億6,000万人、5%強という高い経済成長率を誇り、ASEAN諸国を牽引するインドネシアは未だ眠れる大国です。眠りから覚める時には、世界でも有数の経済大国となるでしょう。急ピッチで進められているインフラ整備は、国全体を活気に満ち溢れたものにする原動力となります。日本の経済成長が、東京オリンピックを起点としたように、今回のアジア大会の成功は、インドネシアの成長を確信するには十分でした。
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