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2017/8/9 平和への祈り ~変化する訪日外国人の意識~

鎮魂の日・・・
72年前の8月6日、8月9日にそれぞれ広島、長崎にアメリカ軍により原子爆弾が投下されました。
人類史上初の原子爆弾の投下であり、広島では約14万人、長崎では約9万人の生命が一瞬にして奪われ、今日でもその後遺症に苦しまれる方々が少なくありません。一週間後、戦争は終結しました。
その原子爆弾の爪痕を残すのが、広島にある、今はユネスコ世界遺産に登録された原爆ドームです。
そして、隣接する広島平和記念資料館には、国内外から多くの人々が訪れ、皆一様に、原子爆弾による災禍を目の当たりにして、声を失うほどの衝撃を受けています。

昨年5月27日、オバマ大統領は、現職のアメリカ大統領として初めて、被爆地広島を訪れ、平和記念公園で原爆死没者慰霊碑に献花しました。核兵器については、「恐怖の論理から脱却し、(核兵器の)ない世界を追求しなくてはならない」とスピーチしたことは、記憶に新しいところです。そして、被爆者の森重昭さんを抱きしめた瞬間は、歴史が大きく動いたかのような感動的な光景でした。
影響力のあるアメリカの現職大統領が、広島を訪れたことは、全世界に核の脅威を改めて考えさせるいい機会になったかも知れません。

広島を訪れる外国人は急増してきています。
訪日外国人の多くは、東京→箱根→富士山→名古屋→京都→大阪の、いわゆるゴールデンルートを辿りますが、最近はそのルートも多様化してきています。
その一つとして、今最も、注目されているのが、大阪→京都→広島というルートです。世界で唯一の原子爆弾による被爆地として、世界的に有名な広島ではありましたが、ゴールデンルートと同様の人気が出てきています。その理由は、口コミでの広まりです。
原爆ドームや平和記念資料館、又は宮島世界遺産の厳島神社での体験は、訪れる外国人の心を鷲掴みにするようです。
その体験が口コミやSNSによる発信の結果、現在では、好んでこのルートで旅行する人が増えているようです。

アメリカは日本に2回、原子爆弾を投下しましたが、その是非に関しては、年代により変化が現れてきています。
イギリスの調査会社がアメリカ人1,000人に面接調査を行った結果によると、回答者の46%が、日本への2回の原子爆弾投下は、正しい決定だったとし、間違った決定とした回答者は29%でした。
しかし、18歳~29歳では、回答者の45%が、原子爆弾投下の決定は間違いだったとしました。正しい決定だったと答えたのは31%です。
30~44歳では、これよりもう少し意見が割れており、36%が間違いだったとし、33%が正しかったとしました。
それ以上の年代の45~64歳では、55%が正しかったとし、間違いとしたのはわずか21%でした。
さらに、65歳以上では、65%が正しかったとし、間違いとしたのは、わずか15%でした。
この調査結果で浮き彫りにされたのは、世代が若くなるにつれ、原爆投下への支持が低下することです。
このアメリカ人の意識の変化には、訪日するアメリカ人が、特に若い世代の人たちが、前述したように、広島に訪れた時の体験が、口コミやSNSの発信による影響があったと考えても何ら不思議ではありません。

日本は、文字通り戦後の焼野原から、急速に経済発展した国として、世界中から注目されましたが、忘れてはならないのは、世界の中で唯一の被爆国であるということです。
それは、日本人一人一人の心にしっかり刻み込まれ、平和を愛する国となりました。戦後復興の原点がここにあります。広島を訪れる外国人は、そのようなことを感じ取っているのかも知れません。
日本の観光資源は、東京の近代化した都市や伝統的文化が根付く京都の街並みに代表されますが、広島や長崎には、訪日する外国人にとって、平和とは何かを改めて考えさせられる得難い経験が出来る土地として、これからも多くの外国人が訪れて欲しいと願っています。

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