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2016/12/02 訪日外国人への防災対策 ~外国人を安全に導くシステム作り~

11月22日午前5時56分頃、福島沖でマグニチュード7.3、震度5弱の地震が起こりました。
早朝の地震であり、東京の公共交通機関は一部、運転を見合わせして、安全確認を行った
上で運行を始め、多少のダイヤの乱れがあったものの、その後は、正常に機能し始めまし
た。津波警報が発令され、テレビ映像には、川を逆流していく津波が映し出されるのを目
にすると、あの忌まわしい大震災の記憶が蘇えってきました。

熊本地震以降、日本列島が大きく揺れた1年でありましたが、年々増加する訪日外国人は、
日本で起こる地震をどのように感じているのでしょうか。ここで一つのデータを取り上げ
ます。

調査会社のサーベイリサーチセンターによる「外国人旅行者の避難行動に関する調査」に
よりますと、今年4月に起きた熊本地震で、当時、熊本・大分に滞在していた訪日外国人
旅行者に対して「地震発生時にどのようなことに困りましたか?」と質問。
その回答が以下のとおりです。

 1位・・・全ての日程が狂い、多額の負担が生じた(52.9%)
 2位・・・外国人向けの地震避難マニュアルがなく行動が理解できなかった(47.1%)
 3位・・・今後の旅行がどうなるのか想定できなかった(44.1%)
 4位・・・言葉が分からずどこに行けばよいか分からなかった(41.2%)
 5位・・・テレビ等での地震の放送が理解できなかった(32.4%)
 5位・・・どのようなものを持ち出せば良いか行動が分からなかった(32.4%)

2位や4位、5位の地震避難マニュアルがない、言葉が分からない、放送が理解できないと
いった点は、訪日外国人に対する災害情報発信の整備が行われていない現状を反映した声
だと考えられます。しかし、首都直下型地震、南海トラフ地震、東海地震等、大地震がい
つ起こっても不思議ではないことから、各自治体での訪日外国人の安全確保の対策が整備
されてきています。

ここで、訪日外国人向けに行っている災害情報発信技術の一部を紹介します。

今年2月8日、東京都千代田区内の5カ所で、首都直下地震を想定した都と同区の合同避
難訓練がありました。この中で、外国人旅行者向けの訓練が秋葉原駅で実施されました。
あらかじめ募った10人ほどの外国人留学生を観光客に見立て、区に登録している語学ボラ
ンティアらも集めました。訓練で活躍したのが、多言語音声翻訳アプリ「ボイストラ」で
す。情報通信研究機構(東京都小金井市)が開発したもので、日本語の音声を吹き込めば
自動的に翻訳される仕組み。英語や中国語、ベトナム語、インドネシア語など計29の言語
に対応しています。観光庁も訪日外国人の防災対策にアプリを活用しています。2014年10月
に災害情報の発信アプリ「Safety Tips」を発表しました。緊急地震速報や津波速報などを
自動でスマホに通知します。取るべき行動や避難のフローチャート、大使館の所在地なども
盛り込みました。英語と日本語、繁体字と簡体字の中国語、韓国語に対応しており、無料で
使えます。2015年の訪日客は1973万人以上。安倍晋三首相は「2020年に年間2000万人」
とする目標を「年間4000万人」に引き上げました。想定を上回るペースで外国人旅行客が
増える中、防災対策も急ピッチでの整備が求められています。

東日本大震災後の、日本人の慌てず騒がず、整然と食料や水の配給を待つ光景を目にした外
国人は、口々に“素晴らしい民族性”であることを賛辞しました。それは、私たち日本人の
誇りであり私たちが学んできた教育の賜物です。そんな日本という国に関心を持ち、遠い海
外から足を運ぶ訪日外国人が、安心に旅行してもらうのは私たちの責務でしょう。彼らの安
全を確保し、無事に帰国させなければなりません。おもしろいことに、地震大国日本に訪れ
る外国人の人気観光スポットが、自治体が運営する防災センターの地震体験コーナーです。
もしかしたら、地震を疑似体験することによって、日本人が置かれている環境を理解し、日
本の文化をより深く知るためのきっかけにしているのかも知れません。
弊社のインバウンド事業は、訪日する外国人の安全と安心を担保する事業です。海外に比べ
て安心して旅行が出来る治安の良さと同時に、天災により訪日外国人に及ぶ危機から、確実
に安全に導くシステム作りこそが、最高の“おもてなし”になるのでは。11月22日の早朝に
起こった地震により、高架上で揺れる電車内にいた訪日外国人の不安げな様子を観ながら、
そんな思いを抱きました。

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